機能強化型訪問看護ステーションの算定要件が決まる

機能強化型訪問看護ステーションの人員規準を中心とする算定要件が、公開された。報酬が大きい「機能強化型訪問看護療養費1」では看護師の人員基準がサテライト込みで7人以上となった。医療法人系の大規模なステーションに有利な展開だ。そのあたりのことをまとめてみた。
(平成27年5月27日追記)

2015年末時点の最新情報はこちら
⇒⇒【2016診療報酬改定】機能強化型訪問看護ステーションのこと=現状の整理==


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算定要件などは厚労省のホームページに掲載されている資料を参考にしている。この中でも、機能強化型訪問看護ステーションについてはこちらの資料の中に記載されています。PDFの67枚目、資料の中に記載されているページ数では63ページ目を参考にしています。

資料は厚生労働省から引用していますが、運用にあたってはそれぞれの責任の元で運用をお願いします。万が一転載ミスや今後新たな資料が公開された場合などの責任については当ブログでは保障致しません。

平成26年末時点での機能強化型訪問看護ステーションの設置数などの記事をまとめました
 ⇒わかってきた!機能強化型訪問看護ステーションの現状

2種類ある機能強化型訪問看護ステーション

今回の機能強化型訪問看護ステーションでは訪問看護療養費の算定で2パターンが新設されている。

機能強化型訪問看護管理療養費1

算定要件は下記の通り

  1. 常勤看護職員7人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
  2. 24時間対応体制加算の届出を行っていること。
  3. 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計 20 回以上。
  4. 特掲診療料の施設基準等の別表第7※に該当する利用者が月に 10 人以上。
  5. 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること。
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。

機能強化型訪問看護管理療養費2

算定要件は下記の通り

  1. 常勤看護職員5人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
  2. 24 時間対応体制加算の届出を行っていること。
  3. 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計 15 回以上。
  4. 特掲診療料の施設基準等の別表第7※に該当する利用者が月に7人以上。
  5. 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること。
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。

 

算定できる点数は下記の通り(医療保険)

算定の点数はこちらを参考にしています。

  • 月の初日の訪問の場合

機能強化型訪問看護管理療養費1
12400円(従来は7300円)

機能強化型訪問看護管理療養費2
9400円(従来は7300円)

機能強化型ではない従来のステーションの訪問看護管理療養費
7400円(従来は7300円)

  • 月の2日目以降の訪問の場合(1日につき)

2980円(従来は2950円)

別表第7に該当する利用者のこと

算定要件に挙げられている別表第7に該当する利用者とはこの資料によると以下の通り

※ 特掲診療料の施設基準等・別表第7に掲げる疾病等

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬
化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パー
キンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキ
ンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機
能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、
オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急
性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮
症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候
群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態

2014年4月からどうなる?

機能強化型とは関係のない、通常の訪問に関しての訪問看護基本療養費の算定についてはこちらの資料をじっくりとご覧ください。

機能強化に関する点数や訪問看護基本療養費の点数の資料からわかることは、機能強化型訪問看護ステーションを取得できない小さな規模の事業所の収益が減る可能性はないということです。

これまでの利用者さんに対してこれまで通り4月以降も訪問業務をきちんと行っていれば、これまで通りの収入を上げることができます。だから、あわてて看護師の増員をするという必要はないと思います。

事業規模による収益の差は大きくなる

看護師の人数が5人以下の規模の小さな訪問看護ステーションも、これまで通りに利用者さんを確保できているようであれば、すぐに事業所の収益が下がるということはない。

しかし、看護師を多く抱えている医療法人系などの規模の大きな訪問看護ステーションは、機能強化型を算定することで事業収益が増えることが予想される。

利用者の数に4月以降も変わりがなければ小さな事業所の収益が減ることはないが、大きな事業の所の収益は増えることになるので、事業所の規模の違いによる収益の差は拡大することが予想される。

この状態が続くと、長期的に見て規模の大きな事業所の利益は向上するので、新たに看護師を雇用するための資金を確保できると考えられ、利用者さえ確保できれば大きな規模の事業所はますます収益を上げる体制を作ることができる。

逆に、小さな規模の事業所は現在の看護師の人数を確保できていれば収益が減ることはない。むしろやや微増すると思われるが、看護師数は利用者数が増えないと大きく収益を伸ばすことはできない。

退職などで看護師を補充するときに大きな規模の事業所との給与の格差が生じてしまえば、看護師の人材確保が難しくなることが予想される。

小さな規模の事業所はどうすべきか?

繰り返しになるが、4月以降も医療保険の診療報酬が現行よりも下がるわけではないので、規模の小さな事業所であっても慌てる必要はない。

しかし、長期的に見ると機能強化型の訪問看護ステーションが増加した場合、うかうかしていられない。

機能強化型の算定要件の一つに「居宅介護支援事業所」を併設していることが上げられている。これは、訪問看護ステーションとケアマネがしっかりと連携するべきとの流れだと思うが、ぶっちゃけた話、ケアマネジャーが併設の訪問看護ステーションに利用者を誘導することが可能となるのである。

機能強化型を算定していない小さな規模の訪問看護ステーションの近隣に、複数の機能強化型訪問看護ステーションが現れると利用者の奪い合いが起きることとなり、ケアマネ事業所を併設していない小さな規模の訪問看護ステーションは少し不利になる。

特色ある訪問看護ステーションが有利

居宅介護支援事業所を併設していなくても、その訪問看護ステーションの提供できるサービスに特徴があれば、利用者が減ることはない。

  • 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を抱えてリハビリに対応できる
  • 24時間対応が可能
  • 日曜日もサービスを提供できる体制にある
  • 小児領域の訪問に対応している

等のような独自の強みを持っているステーションに対しては、利用者の紹介が減ることはないと思われる。筆者は訪問看護ステーションに勤務する作業療法士であるので、リハビリテーションを抱えているステーションは一つのメリットであると思っている。

また、受け入れる事業所の少ない小児領域の取り組みも特色を打ち出していくことのできる強みであると考えている。

小さな事業所が、すぐに不利になることはあり得ないが、機能強化型の訪問看護ステーションの算定要件に挙げられている、

  1. 24時間対応体制加算の届出を行っていること。
  2. 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計 20 回以上。
  3. 特掲診療料の施設基準等の別表第7※に該当する利用者が月に 10 人以上。
  4. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。

この4点については、これからの地域医療や地域看護において必要性が高まる事柄でもある。すぐにこれらの算定要件を整えることには無理があるかもしれないが、事業所の長期計画においては考慮していくべきポイントであると考えます。

あなたの事業所は何か強みがありますか?

リハビリテーションがその強みになる可能性は非常に大きいと思います。

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