2015年介護報酬改定で訪問看護ステーションからのリハビリの点数が下がったことについて

平成27年度(2015年)の介護報酬の改定で、訪問看護ステーションからの理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の訪問の点数が下がりました。病院や診療所、老健などの訪問リハビリテーション事業所からの訪問との点数の格差をなくすために下げられたようです。じゃあ、この減点は訪問看護ステーションにとってデメリットなのかというとそうではないってことを書いてみた。

これは2月14日時点の情報で書いている記事です。


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訪問看護ステーションからのリハビリは減点された

今回の改定で 318単位/回の報酬が302単位/回となりました。

訪問看護ステーションも他のサービスと同様に、介護報酬のマイナス改定の影響を受けて、リハビリテーションだけでなく看護師による訪問もマイナス改定となりました。

ただ看護師の20分未満のマイナス改定が

318単位/回⇒⇒⇒310単位/回

と8単位のマイナスになったのに比べ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のマイナスはそれを上回る16単位のマイナスとなっています。

看護師の訪問以上にリハビリは減点されているってことですよ。

加算もとれない

同じ訪問業務に関わっている、病院や診療所、老人保健施設からの理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問する訪問リハビリテーション事業所の単価も同じ302単位/回と減点されました。

じゃあ、これで訪問看護ステーションと訪問リハビリテーション事業所が同じ点数で整合性が取れたっていうかというとそうでもないんですよね。

訪問リハビリテーション事業所は算定することのできる加算があります。

  • リハビリテーションマネジメント加算
  • 短期集中リハビリテーション実施加算
  • 社会参加支援加算

これらの加算は訪問リハビリテーション事業所からの訪問リハビリでは算定することができますが、訪問看護ステーションからのリハビリでは算定することができません。

これだけを見ていると、訪問看護ステーションからの理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問のメリットが全くないってことになりますね。これまでは、訪問リハビリテーション事業所よりも介護報酬が高いことが訪問看護ステーションのメリットだったのに、それが完全になくなりました。しかも、加算も算定することができないなんてある意味、ステーションにセラピストがいることにメリットがあるのかって話になってしまいますよね。

それでも訪問看護ステーションにリハビリは必要なんだ

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が中心となって立ち上げているリハビリテーションがメインの訪問看護ステーションにとってはこの改定はけっこう衝撃だと思う。

看護師の雇用を必要最小限に抑えて、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を多く雇用しているステーションの場合、今回のマイナス改定の影響を大きく受けることになるからだ。職員のお給料を考えなおそうとしている事業所もあるかもしれない。

だけど、私が勤務している看護師が立ち上げて看護師が中心の訪問看護ステーションにとっては今回のリハビリ減点は大きな影響にならない。職員の数は看護師が多くて、セラピストの数が少ないからだ。

本来の訪問看護ステーションっていうのは看護師が中心だ。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は看護師による訪問だけでは不十分な点を補完するために訪問が認めらているようなものだと思う。ある意味、協業することでメリットが生まれるのが訪問看護ステーションでのリハビリなんだ。

同じ事業所だからこそ連携が容易

リハビリテーションマネジメント加算は算定できないが、同じ訪問看護ステーションに勤務している看護師とリハ職は容易に情報交換ができる。連携しやすい環境にある。常に事務所で情報交換できるのは大きなメリットだ。

私が掛け持ち勤務している事業所のうち2か所の訪問看護ステーションはリハビリ職は私一人しか勤務していない。リハビリテーションが必要な利用者さんがいても、私一人ですべてを見ることができないから、看護師さんにもリハビリをしてもらっている。その看護師さんへのリハビリテーションの指導は作業療法士である私が行っている。

普段からコミュニケーションはとれているし、同行訪問するなどして必要最低限のリハビリテーション的かかわりについては普段から伝達する体制が取れている。

そういう点で、同じ事業所内に看護師とリハビリがいることのメリットは大きい。

主治医に関係なく訪問できる

訪問リハビリテーション事業所からのリハビリは何らかの形でその事業所の医師が利用者の診療を行う必要がある。本来の主治医とは別の医師の診察を受ける必要があるってことだ。 主治医によっては訪問リハ事業所の医師への情報提供を拒んでいる医師もいるという話を時々耳にする。

訪問看護ステーションはそのような制約を受けない。これは訪問看護ステーションの大きなメリットで、とうぜんリハビリ職も同じである。

リハビリメインの訪問看護ステーションでも

必要最低限の人数の看護師を雇用して、リハビリテーション職を沢山雇用して事業を行っている訪問看護ステーションを否定することはない。だけど、そういった事業所の多くはこれからの事業所の運営スタイルを見直す必要がると思う。

今回のマイナス改定の流れが、今回だけで終わるとは思えないからだ。

訪問看護ステーションでの看護師の役割を見直さない限り、リハビリメインの訪問看護ステーションの先行きは暗いと思う。訪問看護ステーションの運営の中心は看護師なんですよ。

将来的には加算をとれるようにしてほしい

今回の2015年度の改定でも、リハビリテーションマネジメント加算などを訪問看護ステーションでは算定することはできなかった。

だけど、訪問看護ステーションを運営している事業者の中には訪問介護やケアマネ事業所などを併設している事業者も多い。こういった複数のサービスを提供している事業所にある訪問看護ステーションでは、ヘルパーさんやケアマネと常に連動して利用者さんへのサービスを提供している。

わたしも、ヘルパーさんと同行したりケアマネジャーと同行して訪問することはよくある。

こういった事業形態をとっている事業所については、将来的にマネジメント加算などは算定できるようになってほしいと思っている。現場で行っていることに対して、きちんと報酬をつけるような動きになってほしいと思います。

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10 件のコメント

  • 看護師ではできないところをセラピスト?そもそも、処置、看護をする仕事と、治療する職種では、まったく違います。専門的な知識も違います。提供できることも違います。誤解を生むような書き方でしたので、コメントを残させていただきました。
    セラピストの真似事なんて、看護師にはできません。
    もちろん、看護師ができる処置や専門的看護は、セラピストにはできません。

    • たろうさんへ

      コメントありがとうございます。言葉のニュアンスが不十分で申し訳ありません。

      看護師ができることをセラピストはできません。だけど、リハビリテーションについては、看護師が実践することは違法ではないのです。看護協会も看護師に対してリハビリテーションに関する研修会を多く開催しています。

      実際に現場でリハビリテーションを提供している看護師も多くいます。

      看護がメインのステーションで働くものとして、看護とリハビリの連携は欠かすことができないものと考えています。また、地域でのリハビリテーション供給量は大変少ないので、その部分を看護師が補う必要もあると考えています。その為には協業が必要である。

      ということを伝えたかったのです。

      それぞれの専門職の専門性を否定するつもりは全くありません。

      • あのー。

        確かに日本では違法ではありませんよ。なぜだと思います?看護師にもそれなりにできると思われているからですよ。
        そんな甘っちょろいもんじゃないんですわ。
        看護師が行うことが認められている、めずらしーい国なんですよ。
        そもそも、セラピストも悪い。治療できることを示せる人が少なすぎる。

        リハビリテーションという言葉もおかしい。社会復帰という意味でしかありません。

        そんなことがまかり通ることに、異常だと思わない人がおおすぎる。

        そして、看護師がセラピストの治療をできるか?できません。なんちゃって、の、本当にできるセラピストがやるものとは全く違うものです。

        だって、資格が違うのですから。本来、協業とは、不可侵でなくてはできません。専門家が、その分野をきっちりできるから、協業できるのですよ。
        私たちが注射やオペしていいと言っているのと同じです。真の理学療法、作業療法は、同じように、真似なんてできるレベルのものではありません。

        だから、連携できるのです。看護は看護、セラピストはセラピストの仕事をきっちりして、バッチリ連携して仕事をするものです。

        • たろうさん
          昨日に引き続きコメントありがとう。

          たろうさんはセラピストなんですね。
          私は日本のセラピストがおかしいから、それを変えてやろうなんて程熱くはありません。
          私は日本で活動しているので、その範囲での協業を実現したいと思っています。

          それが、たろうさんのおっしゃる「本当」のリハビリテーションや「協業」の真の意味から外れていても、私の勤務している事業所で私一人では十分に対応できないから、看護師にも協力してもらっています。
          甘っちょろいと思われても、現実的な路線で協業を考えています。

  • そうですか。私は日本で働く国家資格者ですから、法律通り、努力を続けます。日本の法律は、OTはADLを自立させるための治療ですから。実はWHOの定義より日本の法律のほうが厳しい気がします。。。

    ちなみに。不可侵で協業しておりますので、患者も私たちも困ってはいません。きちんと治療しないと困るのは患者ですからね。
    お互い助言することはありますがね。
    そのかわり、自分の仕事はしっかりやります。そういうふうに働いている人もいるのです。
    そうしないと、誰がやってもいい、とか、専門職なのに、それに一年足せば、例えばPTがOTもSTもできる、みたいなとんでもないことが提案されたりするのを止められないですし、診療報酬、つまり治療してもらえる点数を得る資格でなくなってしまうからです。
    私はOTですが。真のPTをやっている人をみて、そして、OTを知っていて、3年4年でも足りないのに一年でできると思われるなんて、と思いましたよ。

    そして、先人のOTの先生方が、今の現状を大変嘆いていらっしゃるのも事実です。

    それでは、失礼いたしました。

    • たろうさんへ

      何度もありがとー、嬉しいです。

      作業療法士として何年も努力が必要と言うことは私も同感です。一年でできるとは思いません。

      今回のたろうさんのご意見で私なりに理解できたことは、「協業」「連携」することは必要であるっていう点は、私もたろうさんも同じように考えているのかなってこと。

      でも、そのベースになる視点や考え方が違うのですね。

      僕なりにたろうさんが危惧されていることは理解できます。たろうさんの考え方やスタンスも理解できます。

      でも、そこから先の方法論というか実践スタンスが違うのかなって思います。

      僕は僕なりのスタンスで、先人たちが嘆かないような状況を作り出していきたいなって考えています。

    • あ、補足です。

      不可侵ではない、ということは、相手の職種に対しても、大変失礼ですし、生半可な知識でされることは患者も迷惑ですし、そしてなにより危険です。

      もちろん、医療人として必要なケアは私もします。熱中症の患者をみて、看護師ではないから、と放っておくのは違います。

      長くなりました。お邪魔いたしまた。

  • 訪問看護ステーション勤務していますが、私は訪問リハは税金の無駄使いと思っています。
    多くの利用者様は週1回のリハでは何の変りもありません。とこぼされています。
    訪問リハビリは喜ばれていますね。

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