実践!リハビリテーション看護6「PDCAサイクルが基本です」


脳血管疾患・脳卒中のリハビリテーションには何かしら、特別な手法があると勘違いしている看護師さんは、多いのではないでしょうか?

そんなものはありません、リハビリテーションって言うのは考えながら実践するんです。PDCAサイクルが基本的なアプローチなんです。

2017年11月5日 追記しました

〇〇法や〇〇アプローチのこと

「これさえやっておけば大丈夫」っていうような、便利な手技や手法というものはありません。

特に回復期リハビリテーション病棟・病院において看護師さんがかかわる最も多い疾患である脳血管疾患に対してのリハビリテーションにおいて、すべての症例に対して100%効果的な「〇〇法」的なアプローチは皆無といってもよいでしょう。

  • 川平法
  • ボバース法
  • ドーマン法
  • CI療法

具体的なアプローチ名を上げれば色々とあります。しかし脳血管疾患の特徴は「同じ病名でも人によって症状が異なる」ために、一つの手技や手法がどの症例にもバッチリ対応できるということはありません。

むしろ、一つの手技や手法で、脳血管疾患の全ての症例が劇的に改善する「〇〇法」みたいなものがあれば、もっとそのアプローチは世の中に広まっているはずなんです。

特定のなんらかのアプローチだけが世の中に広まるのではなくて、さまざまなアプローチが広がっているということは、それぞれのアプローチに一長一短があって、効果がある場合もあれば、効果がいま一つな場合もあるってことなんだと思います。

少なくとも、作業療法士として2017年で27年目のシーズンを迎える筆者の立場から言わせてもらえると、脳血管疾患に対してどのような症例にも効果的なアプローチというものには出会ったことはありません。私自身は、世間でいうところのボバースアプローチの考え方をベースに脳卒中の患者さんのリハビリテーションに取り組んでいます。だからといって他のアプローチに見向きもしないということではなく、いろいろなアプローチを試行錯誤しています。

症例一人一人に対して対応を考える

特定のアプローチが広まらないということは、患者さん一人一人に対して「様々な取り組み」「その患者さんに応じた対応」をしなければ効果がない事を意味していると言えます。

  • 起き上がりや立ち上がり動作
  • 移乗動作
  • 更衣動作
  • 食事動作
  • 排泄動作

それぞれに介助が必要な、脳血管疾患の患者さんの場合、それぞれの患者さんの状態や介助量に合わせた、効果的な方法を考えて実践しなければならないという事なんです。

さらには、患者さんの状態がいい意味でも悪い意味でも、徐々に変化している場合にはその変化に合わせて介助や対応の方法も変化させなければならないのです。患者さんの状態が変わっているのにそれ以前と同じ方法で関わっていてはよくないということです。

これって結構大変なことですよね。難しいことなんです。

だからリハビリの専門家である理学療法士や作業療法士、言語聴覚士でさえ「〇〇法」や「〇〇アプローチ」っていうタイトルの研修会にはせっせと参加されているんですよね。

リハビリテーション看護の基本はPDCAサイクルです。

じゃあ、患者さんへのかかわり方の基本的なアプローチは無いのかっていうと、そうではないんです。定型的な手法はないのですが、定型的な考え方はあります。それがPDCAサイクルなんです。

  • Plan(計画)
  • Do(実施・実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善したものを実施・実行)

事業の推進や改善計画などでおなじみのPDCAサイクルなんですが、リハビリテーションの実践はまさにこれなんですよ。

PLAN(計画)

「今」の患者さんの状態を評価、アセスメントして計画を立てる。

患者さんへのかかわり方、介助の仕方、看護師としての対応など、まず計画を立てるわけですよね。現実的にはこのPLANの前にも評価を実践して、計画を立てるんですけどね。

患者さん一人一人の臨床像が異なりますから、それぞれの状態に合わせたその患者さんへの計画を立案する。それがかかわり方の第1歩なんです。

DO(実施・実行・実践)

計画に基づいてリハビリテーション看護を実践・実行します。

ADLでいうなら、起居動作や更衣動作、食事動作など、計画に基づいてそれぞれの患者さんに合わせて実践します。

たとえば更衣動作でいうなら

  • 一人で更衣できる
  • 頭の部分は一人でできるが、袖に通すことは介助
  • 更衣動作の遂行は可能だが、座位保持が難しいから着替えの間見守りが必要
  • 上着は一人でできるが、ズボンはバランスが不安定なので介助

患者さんの状態が異なりますので、更衣動作といっても多くのバリエーションがあるわけです。その患者さんに最も適した関わり方を選択します。

CHECK(評価)

厳密に言うと、リハビリテーション看護の計画を立案する前にも評価は実施していますからこの部分は計画を立て直す、見直すための再評価になります。

計画に基づいた、リハビリテーション看護を実践していても、日々患者さんの状態は変化していきます。だから、いつまでも同じかかわり方を続けるべきかどうかを判断する必要があります。

  • 一人で実施できるのか
  • 介助が必要なのか
  • 一人できるがまだまだ改善の余地があるのか
  • 一人で実施できて、それ以上の課題はないのか

患者さんの変化に合わせて計画とか関わり方を変更します。この再評価の期間はその患者さんの状態によって変わってきます。

患者さんが毎日変化しているなら毎日関わり方を変更する必要があります。

患者さんが変化しなければ一定期間PLANを継続して、もっと効果的なかかわり方がないかどうかという視点で再評価を行います。変化がないからといって再評価が不要っていう事ではないのです。

ACTION(改善して実施)

再評価に基づいて新たにリハビリテーション看護の計画を立てます。その新しい計画に基づいて実践するのがACTION(改善して実施)です。

患者さんの状態に応じた新たな実践の開始ということです。

常に考えることがリハビリテーションです

自分のかかわり方が、継続すべきなのか変更をすべきなのかってことは常に検討すべき課題なのです。1週間ごと、1か月ごと、という感じで定期的に見直してもよいのですが、患者さんの変化が定期的に変化するわけではありません。患者さんとの関わりの中で患者さんの変化を感じたらその時が、プランを変更するタイミングなんです。

リハビリテーションというのは常に患者さんの状態を観察して評価しながら関わりを変えることが基本なんです。

PDCAサイクルであるということを頭に入れておく必要があります。

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