看護師さんがメインで、リハスタッフは私が週1回のみ非常勤で関わっているだけの訪問看護ステーションでの勤務を通して、看護師さんにいろんなことを伝えていく必要性を感じたのもこのサイト作った理由の一つです。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーションの視点や患者さんの評価のポイント、看護師さんの支店や評価のポイントって違うところも多いなって感じています。そんな中で、今回は「ベッド上端坐位」について書いてみます。
ベッド上端坐位と椅子座位
寝たきりの患者さんとか、座位保持が不安定な患者さんをリハビリテーションとして看護師さんが訪問で関わることは非常に多いと思います。
脳血管障害による利用者さんは多く、介護保険利用者の疾患別ランキングでもトップ3に入っています。安定した座位保持ができるということは
- 座位が安定することで姿勢がよくなる
- しっかり座ると、両手を使いやすい
- 片麻痺の人であっても、姿勢が安定しないと健側のほうの手が使いにくい
などなど、座位を安定させることは在宅生活において非常に重要です。
椅子座位
背もたれのある椅子に座位をとったり、車いすに座ったりすることってありますよね。座位保持が一人でできない方の場合、まずは背もたれのある椅子や車いすでの座位保持をできることを目標にしてみます。転倒の危険もベッド上端坐位に比べると、少ないことがその理由です。
椅子座位でも
- 肘置きのある椅子、肘置きのない椅子
- 背もたれの低い椅子、背もたれの高い椅子
- ソファーのようにクッション性の高いもの、学校の椅子のように座面の硬いもの
- 食卓椅子のように座面の位置が高いもの、ソファーのように座面が低いもの
- 回転する椅子と回転しない椅子
などなど、一口に「椅子座位」といっても条件は異なります。
ベッド上端坐位
椅子座位と異なり、ベッド上端坐位は背もたれもないところに腰を掛けるだけになります。椅子座位に比べると、もたれる部分がありませんので当然座位保持能力が高くないと安定した座位を保つことはできません。
逆にベッド上端坐位が安定しているということは、それだけバランス保持能力が高いと言えます。
ベッド上端坐位の練習のこと
私がアルバイト先の訪問看護ステーションで一番驚いたのがベッド上端坐位を練習するときの看護師さんの位置。
座位が不安定な患者さんと端坐位を練習するときに、理学療法士や作業療法士は患者さんの後方に回ることが多いのです。
しかし、看護師さんは前方から介助して座位保持練習しようとされます。
つまり
「ベッド上で患者さんを端坐位にさせ、向かい合った看護師が患者さんの肩や首の後ろ、腋下などに両手を回して座位を保持させる」
この介助方法って結構大変ですよ。中腰に近い姿勢になるし、腕もつかれます。バランス不安定な患者さんほど看護師さんの介助量は多くなります。
これに対して理学療法士や作業療法士は
「ベッド上で患者さんを端坐位にさせ、ベッドの上に理学療法士や作業療法士があがり、後方から体を支えます。セラピストから患者さんを後ろから抱きかかえるような感じ」
このような姿勢をとると、バランスが不安定な患者さんであっても介助者に持たれているような姿勢になるので安定します。また、セラピストは両手をフリーにすることができるので、更衣の練習や排痰の練習などをすることができます。「セラピストが背もたれのようになる」わけです。
ベッドに上がるという事
アルバイト先の訪問看護ステーションの管理者によると、
「看護師はベッドの上に上がるということはあまりしない。だからつい習慣で、ベッド上で端坐位の練習をする時には、ベッドに上がらず前方から介助することが多くなる。」
とのことでした。でもその場合、看護師さんの両手は体を支えることでふさがれてしまうから、座位保持以外の練習はすることができなくなります。しかも介助量が多くて大変。
ベッドに上がって後方から介助すると、こちら側の体で患者さんを受け止めることができるので、多少体重の重い患者さんでも支えることができます。しかも両手をフリーにできるので、更衣などの練習もすることができます。
ベッドに上がることに対しての習慣や、上がることそのものへの賛否はあると思いますが、「介助量」「安全性」という点ではベッドに上がることの方が利点は多いように思います。
ぜひ一度お試ししてみてはいかがでしょうか?
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