実践!リハビリテーション看護1  動作観察のこと

回復期リハビリテーション病棟・病院を中心に、看護師さんがリハビリテーションの視点から患者さんを支援する、いわゆるリハビリテーション看護が実践されるようになってきた。しかし、回復期リハビリテーション病棟・病院で働いている理学療法士、作業療法士、言語聴覚士たちは非常に若いために、きちんと看護師にリハビリテーションの視点からの看護師へのアドバイスをできていないのが現状ではないでしょうか?

そこで、いくつかの内容に分けて、看護師を妻に持つ作業療法士の立場から、リハビリテーション看護について書いてみたい。

※2017年10月23日追記


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リハビリテーション看護って何?

そもそも、リハビリテーションは理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーションスタッフが、実施するものだと考えている看護師さんは多いと思う。しかし、リハビリテーションは理学療法士や作業療法士、言語聴覚士だけが実施するものではなく、看護師さんたちが行ってもよいのです。

認定看護師の制度とカリキュラム

看護師の卒後教育の制度に、認定看護師や専門看護師というものがある。理学療法士や作業療法士も同じような名称の卒後教育をそれぞれの協会が実施していますが、その教育の内容やレベルは看護師の方がはるかに高いということを看護師の皆さんはあまりご存じないかと思います。その領域や教育内容については 看護協会のHP からご確認いただけますので、興味のある方は一度ご覧下さい。

その認定看護師の一つの領域の中に 脳卒中リハビリテーション看護 というものがありそのカリキュラムの中には

  • 早期離床と日常生活活動自立に向けた支援技術
  • 生活再構築のための支援技術

この2つの支援技術は、看護師もリハビリテーションへの関わりを行うということを示しています。リハビリテーションというものは決して、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士だけが実施するものではないという事なのです。

残りの21時間の生活は看護師が対応する

回復期リハビリテーション病棟では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は1日あたり最大各1時間、合計3時間のマンツーマンの個別のリハビリテーションを実施できます。

2016年の診療報酬改定により少し条件が厳しくなり、120分以内の個別リハビリテーションが多くなってきています。

このマンツーマンによるリハビリテーションがリハビリの主役は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士だという誤解を招いているのではないかと私は危惧しています。

リハビリスタッフはトータルでも、3時間以内しか患者さんに関わらないのです。残りの21時間は病棟で過ごしているのです。その病棟で関わるのは看護師さんなんですよ。

だからこそ、看護師さんのリハビリテーション的なかかわりが重要となってくるのです。

リハビリテーションの基本は動作観察

病状が安定している患者さんだからこそ、リハビリテーションを実施できるんですよ。だから、リハビリテーションを受ける患者さんのバイタルはおおむね安定しています。

疾患の種類によっては、進行性のものや状態の不安定なものもありますが、回復期リハ病棟に入院する患者さんの状態はおおむね安定している方が多いはずです。

血液検査の結果とか、尿検査の結果とか、いろんな検査データとかも看護では大事になってくるのですが、そのような看護師の基本的な業務ではなく、 リハビリテーション看護 だけにかぎって言うと最も重要なことは 動作観察 という評価方法だと思います。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士にとって 動作観察 というのは当たり前の評価項目なのですが、看護師さんにとってはどうなのでしょうか?

ADLの状態を評価するために必要な動作観察

更衣動作や食事動作が「できる」「できない」とか「自立している」「自立していない」というのは看護師でなくても、家族や介護職員でも判断できると思います。

また、今まで一人で起きることができなかった人が「起きる」ことができるようになったり、一人で座ることができなかった人が「座れる」ようになったりするなど、

出来なかったことが出来るようになるというような明確な変化

というのは、誰にでもわかるものなんです。しかし、リハビリテーションを必要とする患者さんにとってそのような劇的な変化はそんなにたくさん訪れるものではありません。

「出来ない動作」 「介助が必要なADL」

ができるようになるまでの過程には、微妙な運動や動作の変化があるものなんですよね。リハビリテーションにはその微妙な変化を捉えながらその患者さんに応じた対応・支援をすることが大変重要になってきます。

その、微妙な変化をとらえるのが 動作観察 という評価方法なんですよね。

動作観察のポイント

まあ、全部観察できればいいんですけど、慣れていない方にとっては見方の効率が悪いので、見るべきところが見られないってこともありますよね。ポイントとしては

  • 上肢
  • 下肢
  • 体幹

のそれぞれのパーツに分けてみてみることをお勧めします。それぞれの部位がどのような動きをしているのかってことを観察します。その時に注意してほしいのは

左右差があるのかどうか
脳卒中による片麻痺患者さんの場合は、左右で動きの違いがありますよね。麻痺側ばかりではなく、非麻痺側の動きもしっかり観察しましょう。
上下差とはあまり言いませんが、上肢と下肢では動きやすさの違いはあるのかどうかっていうことも確認しましょう。上肢の動きに比べて下肢の動きは良好なのかとか、上肢は左右差が大きいが、下肢はそれほどでもないとかって感じで、大まかでも構いませんので確認しましょう。

姿勢を分けてみるっていうのもポイントの一つですよ。
臥位、座位、立位でそれぞれの状態(上肢、下肢、体幹)を観察してみる。

随意性があるのかどうかってこともポイントです。どこがどれくらい動いているのかって感じかな。

まず、意識して観察することから始めましょう

そのADLが できる  or  できない

ってことだけを観察するのではなくて、どんな風な動きをしているのかって言うその患者さんの特徴を捉えるように意識しましょう。

とくに、脳卒中という病気は同じ病名であってもその症状というか、患者さんの障害像は非常にバラエティに富んでいます。その人その人によって動き方も異なってきます。

その人の動作の特徴を捉えることが大事です。

変化をみることができるようになろう!

ADLで出来ない動作があっても、1か月前の状態と今現在の患者さんの状態はまるっきり同じでしょうか?

もし同じでないなら、どこが変化しているのでしょうか?

そこに気付くことができるにはしっかりとした動作観察の目が必要となります。

患者さんの動きが変化してきているのに、介助の方法は同じでかまわないのでしょうか?

患者さんの動きが変化しているなら、変化した状態に合わせて介助方法も変えたほうがいいのではないでしょうか?

変化に気づくことができれば病棟での看護師さんの支援の手段や方法も変わってくるはずなんですよね。

そのためにはまずしっかりとした観察眼を養いましょう。

動作観察 まとめ

  • リハビリテーション看護の基本は 動作観察!
  • 患者さんの動作の変化に気づくことが必要
  • 動作の変化に気づくことができれば、支援の方法も変えることができる

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