看護師の特定行為と訪問のリハビリテーション

看護師の特定行為に対しての研修について先日新聞等でにぎわっていましたね。

当初は特定看護師制度の創設を目指していた日本看護協会。でも、それに反対する医師会を中心とした各種団体の対立が激しくて特定看護師制度は少し、当初もくろんでいた内容よりはトーンダウンしているようですね。詳しくは 厚生労働省の審議会の記録 等をご覧いただければ、経緯を把握できると思います。

訪問リハビリテーションを仕事としている私にとって、実はこの特定看護師制度にはちょっと期待していることがありました。

それは 「訪問リハビリテーションの指示を特定看護師が行える」という項目。2013年10月の厚労省の審議会等の資料に掲載されている、特定行為に対しての研修項目には含まれていないので、立ち消えになったんでしょう。

訪問看護ステーションへの指示書

2013年11月の時点では訪問看護ステーションへの指示書は医師が書くこととなっています。しかし、特定行為を議論していた時には

「訪問看護ステーションでのリハビリテーションなどについての指示書を特定看護師が書くことができる」

というようなことが議論されていました。日本理学療法士協会はものすごく反対していました。

私は訪問看護ステーションに勤務する作業療法士として、実はこの看護師が指示書を書くという行為に期待していました。

指示書を発行するという行為

病院でリハビリテーションの指示書を書くのも、訪問領域でリハビリテーションの指示書を書くのも、どちらも医師です。

病院の場合、入院している患者さんに対して医師がリハビリテーションが必要だと判断したケースについて指示書を書くことが多いわけですよね。

ところが、介護保険業界では、家族から医師に対して、「訪問リハビリをうけたい」という希望に基づいて医師が指示書を書いたり、ケアマネジャからの依頼によって医師が訪問リハビリの指示書を書くということが多いんです。

まあ、最終的には指示書を書く医師が、その利用者さんに対してリハビリが必要かどうかということを吟味したうえで書かれているのでしょうが、病院と訪問ではその経緯が少し違うんですよね。

仮に、ケアマネさんが、医師に訪問リハビリの指示を依頼したけれども、医師がリハビリの必要なしと判断してリハビリの指示書を書くことを断って来た場合、そのケアマネさんはどうすると思いますか?

 

たぶん、別の医師に依頼して書いてもらうでしょうね。指示を書くのは医師であればだれでもいいんですから。

利用者さんの状態を把握しているからこそ指示書を書く

だから、訪問業界において、利用者さんの状態を十分に吟味してリハビリテーションの指示書を発行している医師は少ないと思います。ケアマネジャや家族の希望に基づいて発行している医師のほうが多いってこと。

それなら、訪問業務を通して患者さん、利用者さんの状態を最も把握しているであろう、看護師さんが必要に応じて、訪問リハビリテーションの指示書を発行できるほうが、よりタイムリーで実情に沿った訪問リハビリテーションが展開できるのではないかと、私は特定看護師制度に期待を寄せていました。

医師抜きで仕事をしたいというのではないのです。

現在の訪問業界における訪問リハビリテーションの指示書にはいろいろ問題があります。とくにリハビリテーション実施期間等の記載もあまりないしね。

訪問看護ステーションの看護師さんってものすごく利用者さんの状態を把握していると思います。

そんな看護師さんが書く指示書には、利用者さんの状態が反映されていりるのではないかと思うんですよね。

 

訪問看護師が訪問しているケースであっても、「リハビリ」という項目の記載がなければ、私たち作業療法士が訪問する場合でも、指示書を再発行してもらう場合があります。そんなのなんだか二度手間なような気がするんですよね。

すでに訪問を開始しているケースであれば、その状態に応じて看護師がリハビリテーションの必要度を判断して、同じ事業所の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などに指示を出してリハビリテーションを開始する、こんな流れがあれば地域でのリハビリテーションはスムースに動くのではないかという期待を特定看護師制度に持っていたんですよね。

残念ながら、リハビリテーションについては今回の特定行為からは外れてしまっているのですが、地域リハビリの業界では案外期待している人が多いのではないでしょうか?

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